2008年度 全国アンケート結果の公開

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今年もご協力頂きましてありがとうございました。下記に御協力頂いた施設一覧を掲載しております。


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2008年1月1日縲鰀12月31日までの1年間に行われた冠動脈外科手術に関する全国アンケート調査結果の年次報告今回のアンケートでは全国の409施設に依頼し、284施設から回答をお寄せ頂き、回答率は69.4%であった。詳細で複雑な内容にも関わらずず多くの施設,先生方にご協力を頂き,この場にて厚く御礼を申し上げる。

今回は、前回に引き続いて虚血性心疾患の慢性期合併症に対する手術手技とその成績に関して調査を行うと共に、新たに合併症としてのstroke(脳血管に関する有害事象)の発生率を調査した。

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このアンケート調査は、日本冠動脈外科学会の全国アンケート調査委員会において、その内容や調査・集計方法を検討し、それに基づいて行っているものである。1996年の第一回日本冠動脈外科学会からこの調査を行っており、それ以来今回で14年連続14回目の調査である。

これらのデータは日本冠動脈外科のホームページにおいて過去のデータと共に公開しており、どなたでも閲覧、ダウンロード可能であり、我が国の冠動脈外科における基礎的データとして、多くの方々に広く引用されている。

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回答を頂いたアンケートのデータを集計した結果,分析の対象となった冠動脈バイパス術は14,035例,単独冠動脈バイパス術は11,053例、合併手術は2,982例であった。

単独手術のうち初回待機的冠動脈バイパス術は9,301例で,このうちoff-pumpが6,089例,on-pumpが3,212例であった。Off-pumpの施行率は前回の調査とほぼ同様の65%で、依然として高い施行率であった。

一方、緊急、再手術などの初回待機手術以外のバイパス術は1,752例で、この内半数以上の54%がoff-pumpで行われ、前回より施行率は増加した。

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スライドは1996年以降のoff-pump CABGの施行率の年次変化を示したものである。

Off-pumpはこの10年間で急激に増加しており、2003年に初めて50%を越えたoff-pumpは2004年に62%とさらに増加した。その後2年間は61%がoff-pumpで行われた。前回はさらに増加し、単独冠動脈バイパス術では初回待機的手術の66%がoff-pumpで行われた。今回の調査でも0ff-pumpの施行率は65%と前回とほぼ同様の高い施行率であった。最近は5年連続で60%を超えており、スタンダードな冠動脈バイパス手術術式として確立している。

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初回待機手術ので術式の内訳を示す。

初回待機手術のうち、on-pump(心停止)は26.2%に行われ、前回(24.8%)よりこの割合はやや増加した。On-pump(心拍動)は8.3%に行われ、これは前回(8.6%)より減少している。Off-pump総数6,089例のうち、最後までoff-pumpで行えた(完遂)のは97.5%であり、途中でon-pumpへ移行したのは2.4%であった。これは前回の2.9%より減少し、移行を回避するための様々な工夫がなされた結果であると思われた。

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手術手技別の成績(死亡率)を示す。

単独冠動脈バイパス全体(総数)の死亡率は1.46%で、前回(1.78%)よりさらに低下した。

単独初回待機手術の死亡率は0.81%と前回(0.97%)よりさらに低下し、両者とも調査開始以来、最良の成績であった。

このうち、on-pump(心停止)の死亡率は0.90%で、onpump(心拍動)は1.81%であった。Off-pumpを完遂できた症例の死亡率は0.62%と前回(0.65%)よりさらに低下し、極めて良好な手術成績を示した。

Off-pumpから途中でon-pumpに移行した症例は死亡率1.34%と前回(3.70%)よりさらに著明に手術成績は改善した。

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単独手術総数と初回待機手術の死亡率の年次推移を示す。

両者の死亡率は年々低下し、単独手術総数の死亡率は1.46%と調査開始以来、最低の死亡率であった。

また、初回待機手術の死亡率は2005年で初めて1%を切り、その後1%を下回っていた。2007年も0.97%と良好な成績を示したが、今回(2008年)はさらに死亡率は低下し、0.81%と極めて良好な成績で、これも調査開始以来、最低の死亡率を示した。

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Off-pumpに関する詳細な調査を行った2004年以降における単独初回待機手術の手技別死亡率の年次年次推移を示す。

Offからon-pumpへの移行症例の死亡率は2006年までは上昇したが、最近の2年間で低下に転じており、今回は1.43%と最良の成績であった。移行症例に対する術中、術後の治療方針と管理の工夫と進歩がうかがえる。

その他の手術手技の死亡率は安定しており、年々低下傾向にある。特にOff-pump(完遂)症例の死亡率は今回は0.62%と極めて良好な成績を示した。

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スライド9

初回待機手術全体の病変数による成績を示す。

横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。

初回待機手術全体の死亡率は0.81%と良好であった。

3枝病変が全体の46.2%と最多を占め、その死亡率は0.86%と極めて良好であった。LMT+1枝病変が最も死亡率が高く、0.98%であった。

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初回待機手術off-pumpの完遂症例の病変数による成績を示す。

同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。

初回待機手術off-pumpの完遂症例の死亡率は0.62%と前回の0.65%よりさらに低下し、極めて良好な成績を示した。

3枝病変が全体の43.6%と最多を占め、その死亡率は0.70%と良好であった。やはりLMT+1枝病変が最も死亡率が高く、0.95%であった。

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初回待機手術on-pump心停止症例の病変数による成績を示す。

同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。

初回待機手術on-pump心停止症例の死亡率は0.90%と前回(1.39%)より低下し、その成績は向上した。

これも3枝病変が全体の51.9%と最多を占め、その死亡率は1.03%であった。これもLMT+1枝病変の死亡率が1.56%と最も高い値を示した。

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初回待機手術のoff からon-pumpへの移行症例の病変数による成績を示す。

同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。

初回待機手術のoff からon-pumpへの移行症例の死亡率は1.34%となり、昨年(3.70%)よりも手術成績は著明に向上した。

1枝から3枝病変、LMT、LMT+1枝病変は全て死亡率0%で、死亡率が最も高かったのはLMT+2枝病変で、死亡率は9.09%であった。

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初回待機手術on-pump心拍動症例の病変数による成績を示す。

同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。

初回待機手術on-pump心拍動症例の死亡率は1.81%で、前回(1.54%)よりも成績は悪化した。

これも3枝病変が全体の47.8%と最多を占め、その死亡率は1.62%であった。2枝病変の死亡率が3.77%と最も高い死亡率を示した。

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初回待機以外(再手術、緊急手術)の手術全体の病変数による成績を示す。

同様に横軸は病変数別の割合を、縦軸はその死亡率を示す。

初回待機以外の死亡率は4.91%と依然として高かったが、これは昨年の死亡率6.21%より著明に低下しており、成績は向上していた。

これも3枝病変が全体の31.7%と最多を占めた。死亡率が最も高かったのはLMTのみの病変を有するもので、その死亡率は19.40%であった。

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初回待機以外(再手術、緊急手術)の手術総数の手術手技による成績を示す。

同様に横軸は手術手技の割合を、縦軸はその死亡率を示す。

このうち、半数以上(53.6%)がoff-pumpで行われ、その死亡率は2.55%と前回の5.04%より、死亡率は著明に低下し、成績は向上した。これに対してonpump(心拍動)の死亡率10.76%、on-pump(心停止)の死亡率5.23%と依然として高かった。

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手術手技別のバイパスグラフト本数の割合を示す。横軸は割合を示す。

4枝以上を4枝として計算した全体の平均バイパス本数は2.95で、前回の2.94より増加し、さらにより多くのバイパスをする傾向にあった。

手術手技別に、上からon-pump(心停止)が3.19本、on-pump(心拍動)が3.04本、off-pumpからon-pumpへの移行症例が3.05本であった。一番下がoff-pump(完遂)で2.84本で、全ての術式でバイパス本数は前回を上回った。

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今度は逆にバイパスグラフト本数別の手術手技の割合を示す。横軸は割合を示す。

1枝バイパスの87.1%はoff-pumpで行われた。バイパス本数が増加するにつれ、off-pumpで行われる割合が減少し、on-pumpの施行率が増加する。

しかし、4枝以上のバイパスの半数以上(56.5%)はoff-pumpで行われた。これは昨年の58.4%よりは若干低下したが、例年通り、多枝バイパスでもよりoff-pumpで行う傾向が強くなっている事を示している。

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スライド18

障害枝別の手術手技の割合を示す。横軸は割合を示す。

1枝病変の86%がoff-pumpで行われた。障害本数が増加するにつれ、off-pumpで行われる割合が減少し、on-pumpの施行率が増加する傾向がある。

LMT病変を含む症例も同様の傾向であるが、LMT+3枝病変の半数以上(62%)がoff-pumpで行われた。これは昨年の58.5%をまたさらに上回り、多枝病変でも、よりoff-pumpで行われる傾向を示した。

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スライド19

障害枝別のoff-pump(完遂)とon-pump(心停止)症例の手術成績の比較を示す。縦軸は死亡率を示す。

総数ではoff-pump(完遂)の死亡率0.62%とonpump(心停止)の死亡率0.90%より良好な成績を示した。

各項目での両者の死亡率の差はまちまちであるが、off-pump(完遂)の方が成績は良い傾向がある。

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スライド20

障害枝別からみたoff-pumpからon-pumpへの移行率を示す。

全体では昨年の2.9%から今回の2.4%と移行率は低下した。

1枝病変の移行率は1.2%と極めて低く、これは昨年と同様であった。障害枝が多くなり、重症化するにつれてon-pumpへの移行率が増加する傾向がある。LMT+3枝病変の移行率は2.7%であったがこれは昨年の4.9%より低かった。

これらの結果は移行を回避するための様々な工夫がなされた成果を示していると思われた。

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グラフト吻合箇所別からみたon-pumpとoff-pumpの比較を示す。横軸は割合を示す。

バイパスを吻合した冠動脈の場所,あるいは吻合の有無により6通りに分類した。上からRCA,LAD,LCXであり,それぞれ上がon-pump(心停止)、下がoff-pumpである。

Off pumpでもon-pumpでもLADへのバイパス吻合は高率であり、on-pump(心停止)で94%、off-pumpでも97%の症例でLADへのバイパス吻合が行われていた。

また,RCA,LCXへのバイパス吻合はon-pump(心停止)の手術でより高率に行われていた。

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吻合部位の有無からみたoff-pumpとon-pumpへの移行率の関係を示す。横軸は症例の割合である。

上の3段がそれぞれの冠動脈にバイパスを吻合した症例で、下の3段がそれぞれにバイパスを吻合しなかった症例で,どの程度の割合でoff-pumpから移行したかを表している。

LADにバイパスを吻合しなかった症例の8.5%がoffpumpを完遂できず、on-pumpへ移行し、これは他に比べて際だって高い確率であった。すなわちLADにバイパス吻合をしなかった(あるいはできなかった)症例でon-pumpへの移行率が高いことがわかる。これは前回の調査(LADにバイパスをしなかった症例のoffからon-pumpへの移行率11.3%)でも同様の結果であった。

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次に初回待機手術における年齢分布を男女別に示す。

全体の77.5%が男性で、女性は22.5%であった。男女比はこのところ常にほぼ一定である。

男性のピークは前回と同様に60歳代から70歳代に移行し、今回も同様であった。

女性のピークは以前から70歳代であり、年齢分布に変化はない、男性の死亡率は0.90%と前回の0.98%に比して低下し、女性の死亡率は0.64%と前回の1.04%より成績が著しく向上した。

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初回待機手術における高齢者の割合の年次推移を示す。

70歳以上は2000年では39.3%であったが、今回は49.6%に増加し、80歳以上の症例は2000年は4.3%であったが、今回は9.2%を占めるまで増加した。

年々、高齢者の割合は増加している。

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各年齢層における死亡率の年次推移を示す。

以前は高齢者ほど死亡率が高かったが、年々高齢者の死亡率が低下する傾向にあり、今回は70歳代の死亡率が0.92%、80歳以上の死亡率は1.3%に低下していた。

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単独バイパス手術におけるグラフトの選択を示す。

バイパスの延べ本数は25,044本であり、このうち、左内胸動脈が最も頻用されて、36.1%と前回の37.5.%をやや低下してものの、他の動脈グラフトより、多く使われる傾向を示した。

動脈グラフトでは、次に右内胸動脈、橈骨動脈、胃大網動脈の順であった。動脈グラフト総数の割合は63%であり、これは昨年の65.8%より若干低下したが、相変わらず高い動脈グラフト使用率を示した。

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スライド27

全単独冠動脈バイパス手術におけるstroke(脳血管に関する有害事象)の手術手技別の発生率示す。

Strokeは72時間以上継続する中枢神経系由来の神経学的欠損で、非可逆的脳障害あるいは永続的な身体的障害を伴うものと定義した。

全単独バイパス症例11,053例中、strokeを起こした症例は112例で、全体の発生率は1.01%であった。手技別の発生率はoff-pump:1.03%(71例/6851例)、on-pump(心拍動):1.50%(17/1127)、on-pump(心停止) :0.72%(21/2897)、offからon-pumpへの移行:1.68%(3/178)であった。

4群間での検定をχ2-testとKruskal-Wallis testを用いて、多重比較はTukey法を用いて検定を行い、スライドのごとく4群間に統計学的に有意差は認められなかった。

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スライド28

ここからは急性期心筋梗塞合併症に対する手術成績を述べる。

心室中隔穿孔の手術成績の年次推移を示す。横軸は年次、縦軸は死亡率である。

心室中隔穿孔の手術成績は年々良好になっているが最近はほぼ横ばいの状態である。今回の手術死亡率は23.60%であったが、これは前回の27.59%より、低下した。

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心室中隔穿孔の手術成績の内訳を示す。横軸は症例数を示す。

心室中隔穿孔の手術は昨年178例に行われ、死亡率は23.60%であった。

このうちバイパス術を同時に行った症例は70例(39%)で、その死亡率は24.28%で、行わなかった108例(61%)の死亡率23.14%とほぼ同等の成績を示した。

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梗塞部位と手術手技別にみた心室中隔穿孔の手術成績を示す。横軸は症例数を示す。

前壁梗塞に伴う症例は合計143例に行われ、全体の死亡率は18.8%であり、前回の29.78%より著明に成績は向上した。このうちDagett法は29例(20%)に行われ、その死亡率は20.69%であり、Komeda法は114例(80%)に行われ、その死亡率は18.42%であった。

後壁梗塞に伴う症例は合計35例に行われ、全体の死亡率は42.8%であった。そのうちDagett法は15例(43%)に行われ、その死亡率は46.67%であり、Komeda法は20例(57%)に行われ、その死亡率は40.00%であった。これらの成績は昨年より悪化していた。

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左室乳頭筋断裂の手術成績の年次推移を示す。

左室乳頭筋断裂の手術成績は最近10年は変わっておらず、相変わらず高い死亡率であったが、今回の手術死亡は9.52%と著明に低下し、成績が向上していた。

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左室乳頭筋断裂の手術成績の内訳を示す。横軸は症例数を示す。

左室乳頭筋断裂の手術は昨年21例に行われ、死亡率は9.52%であり、昨年の25.0%より著明に低下した。

このうちバイパス術を同時に行った症例は10例(48%)で、その死亡率は10%で、行わなかった11例(52%)の死亡率9.09%とほぼ同等の成績であった。

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心破裂の手術成績の年次推移を示す。

心破裂の手術成績は1980年代、90年代は年々向上してきたが、最近10年はあまり変わっておらず、相変わらず高い死亡率である。今回の手術死亡は31.91%と昨年の28.76%よりやや増加した。

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心破裂の手術成績の内訳を示す。横軸は症例数を示す。

心破裂の手術は昨年94例に行われ、その死亡率は31.91%と昨年の27.86%よりやや上昇した。

このうちバイパス術を同時に行った症例は21例(22%)で、その死亡率は38.10%で、行わなかった73例(78%)の死亡率30.14%よりやや高かった。

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スライド35

ここからは慢性期の心筋梗塞合併症に対する手術成績を述べる。

左室瘤全体の手術成績の年次推移を示す。横軸は年次、縦軸は死亡率を示す。

左室瘤総数(同時に虚血性僧帽弁閉鎖不全症の手術を行ったものを含む)の手術成績は年々良好になってきており、この5年間は安定した成績である。

今回の手術死亡率は5.10%であった。

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スライド36

左室瘤・虚血性心筋症に対する左室形成術(左室瘤切除を含)のみを行った症例の手術成績を示す。横軸は症例数を示す。

左室形成術のみの手術は昨年179例に行われ、死亡率は3.91%であった。

このうちバイパス術を同時に行った症例は125例(70%)で、その死亡率は4%で、行わなかった症例54例(30%)の死亡率3.70とほぼ同じであった。

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虚血性僧帽弁閉鎖不全に対する手術成績を示す。横軸は症例数を示す。

虚血性僧帽弁閉鎖不全に対する手術は昨年451例に行われ、昨年より大幅に増加した。その死亡率は5.98%であり、昨年より著明に低下した。

僧帽弁形成術を行った症例は374例(83%)で、その死亡率は4.81%であった。このうちバイパスを同時に行った症例は312例(83%)で、その死亡率は5.44%で、行わなかった症例62例(17%)の死亡率は1.61%であった。

僧帽弁置換術を行った症例は77例(17%)で、その死亡率は11.68%であった。このうちバイパスを同時に行った症例は48例(62%)で、その死亡率は12.5%で、行わなかった症例29例(38%)の死亡率は10.34%であった。

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スライド38

左室瘤・虚血性心筋症と虚血性僧帽弁閉鎖不全を合併した症例に対する手術成績を示す。横軸は症例数を示す。

左室瘤・虚血性心筋症虚血性僧帽弁閉鎖不全に対する手術は昨年154例に行われ、これも昨年より増加した。その死亡率は6.49%であった。

左室形成術と僧帽弁形成術を同時に行った症例は139例(90%)で、その死亡率は6.47%であった。このうちバイパスを同時に行った症例は104例(75%)で、その死亡率は5.76%で、行わなかった症例35例(25%)の死亡率は8.57%であった。

左室形成術と僧帽弁置換術を同時に行った症例は15例(10%)で、その死亡率は6.66%であった。このうちバイパスを同時に行った症例は8例(53%)で、その死亡率は12.5%で、行わなかった症例7例(47%)の死亡率は0%であった。

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結語(1)

1.単独冠動脈バイパス手術全体の死亡率は1.48%と、昨年よりさらに成績は向上した。初回待機手術の死亡率も0.81%と昨年より格段に低下し、調査開始以来、最良の手術成績を示した。

2.初回待機手術の内、65%がoff-pumpで行われ、その施行率は昨年と同様で、以前高率な施行率であった。また、その死亡率は0.62%と成績はにさらに向上し、極めて良好な成績であった。

3.Off-pumpからon-pumpへの移行率は2.4%と、昨年より低下した。また、その死亡率は1.34%と、昨年より著明に低下し、良好な手術成績を示した。

4.バイパス本数は平均2.95本と、昨年よりも増加し、年々、より多くのバイパスを吻合する傾向にあった。

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結語(2)

5.多枝バイパスほどoff-pump施行率が低下するが、4枝以上のバイパスでも半数以上(57%)がoff-pumpで行われた。

6.症例は年々、高齢化し、70歳以上は約50%、80歳以上は約10%を占めた。

7.動脈グラフトは全グラフトの約63%に使用されていた。

8.単独冠動脈バイパスの術後脳血管イベントの発生率は1.01%であり、手技別の発生率の有意差は認められなかった。

9.心筋梗塞後合併症に対する手術症例は増加し、特に虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する手術が増加した。その成績は著明に向上した。他の合併症に対する手術も依然として良好な成績であった。

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今年もご協力いただきましてありがとうございました。締切を過ぎてから送付されてきた施設のものやメールで送られてきたものの中にはどうしても開かないものがあり、この一覧に入っていない施設があります。ご連絡いただければすぐに載せます。

連絡先:駿河台日大病院心臓血管外科 折目由紀彦
03-3293-1711(代)
yuorime@med.nihon-u.ac.jp


御協力頂いた施設一覧

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